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視力はいろいろな原因で低下しますが、ここでは代表的な視力低下の原因である「屈折異常」についてご説明しましょう。屈折異常などというとなんだか難しそうですが、いわゆる近眼(近視)などがこれに当てはまります。近視のほか遠視や乱視などはほとんどの方が言葉としてはご存知だろうと思います。 |
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遠くを見た時に像がと網膜上にちゃんとピントを結び、近視や遠視や乱視でもない眼の状態のことを眼科では正視と呼びますが、ロボットなどでない生身の人間で完璧な正視は本来存在しないといってよいでしょう。自分自身は子供の頃から目が良く、近親も遠視も乱視もないと思っている人でも、眼科で精密に検査を受ければ何らかの屈折異常が見つかるのが普通です。 |
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日本人に最も多い屈折異常が近視です。(昔のハリウッド映画では日本人は必ず眼鏡をかけていた?)これは遠くを見た時に、角膜、水晶体を通った光が網膜よりも前でピントを結んでしまい、像がぼやけてしまう状態をいいます。日本人に近視が多いのは、日本の狭い家屋事情からとか、縦書きで漢字カナ混じり文を読む日本語の特性からとか、民族的特質からとかいろいろ説は有りますが、原因ははっきり分かっていません。近視には仮性近視(偽近視)と真の近視とがあります。テレビゲームや読書を長時間することにより、毛様体という筋肉が過度に緊張して生じるのが仮性近視で、角膜や水晶体の屈折力が強すぎる場合や、眼軸(角膜から網膜までの距離)が長いことにより生じるのが真の近視です。真の近視で日常生活に支障がある時は眼鏡やコンタクトレンズにより矯正します。仮性近視の場合は点眼薬の使用や訓練により視力が回復することもあります。特に学童期に子供さんが学校での視力検査の結果、眼科受診を勧める書類を初めて貰ってきて、たいへん心配される親御さんがたくさんおられます。自分の子供に眼鏡をかけさせたい親などいませんが、だからと言って何とか回復しないかとあちこち医療機関を転々として、時間とお金を無駄に費やしている方もおられます。ちゃんとした眼科の専門医師なら、検査の結果回復の可能性があるか、それとも眼鏡等が必要かを確実に判断します。(ちなみに院長の私も、私の二人の息子も眼鏡とコンタクトレンズの愛用者です)ただまれに「強度近視」(高度近視)といわれる極めて程度の強い近視まで進行することもあります。この場合は網膜剥離等重篤な疾患に罹患するリスクも増しますので注意が必要です。 |
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「自分は眼が良い(近視ではない)から遠視ぎみだ」と思っている方がよくいらっしゃいます。近視は遠くが見えにくい眼のことだから、その反対の遠くがよく見える眼は遠視だと思われる訳です。でもそれは間違いです。本当の遠視とは近くが見にくく、また遠くを見る時、良く見えていても疲れやすい眼ということです。人間の眼には遠くの物から近くの物までいろんな距離すべてをよく見る為「調節力」という機能があり、これで眼球の中にある毛様体という筋肉を使って水晶体と呼ばれるレンズを厚くしたり薄くしたりしてピント合わせをしています。正視の人は遠くを見る時にはこの調節力を使わないでもはっきりした像を見ることが出来るのですが、遠視の人は遠くを見る時も調節力を使わないとはっきり物が見えません。ましてや調節力がたくさん必要な文字を読む等の近くの作業をする場合は、その限界を超えてしまってはっきり見えないということになります。そして筋肉を絶えず使う訳ですから非常に疲れるのです。でも年齢が若いうちは眼の筋肉も柔軟で元気一杯の為疲れを感じにくく、軽い遠視の人は自分が遠視であるということに気づかず生活している場合も多くあります。遠視に気づかない人が多い理由のひとつは、学校で遠くの視力検査しかしないという事もあるといえます。でも軽い遠視の場合はそれほど不自由もなく、さして生活にも支障を感じませんが、一番重大なことは、幼児の強い遠視です。小さいころ遠くも近くもはっきり見えていないと視力の発達が遅れたり、内斜視になったり、最悪の場合弱視になって、将来の日常生活に支障が生じることです。万一、三歳児検診の時などに遠視の疑いがあると指摘されたなら、なるべく早く眼科の専門医を受診してください。小学校入学後では手遅れになる可能性もあります。 |
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「乱れる視力」あるいは「乱れた見え方」等という漢字の意味が一人歩きしてしまいがちで、なんだかへんてこりんな眼と言うイメージで捉えることが多いのがこの乱視です。でも決して変わった眼や珍しい眼などではなく正確に検査してみればほとんどの人に大なり小なり見つかるものです。人間の眼は単純にボールの様なまん丸の球状ではなく、タテ・ヨコ・ナナメどちらかにゆがみのある少し楕円です。その楕円の中にある角膜や水晶体も当然タテ・ヨコ・ナナメどこかに少しにゆがみがあるのですが、本来はそれぞれがうまくバランスをとって網膜に像を結ぶようになっています。しかし角膜と水晶体バランスが崩れると縦と横の焦点にずれが生じます。これが乱視です。軽い乱視の場合矯正をしなくとも支障はありませんが、乱視が強いと、ある方向の線ははっきり見えるがその90度逆方向の線ははっきり見えないということが起こります。その場合は疲れ眼(眼精疲労)等の原因になったりしますので眼鏡やコンタクトレンズ等での矯正が必要となります。しかし乱視の存在に気づかないまま、ある程度適応してきた人が眼鏡を作る際、しっかり乱視を矯正するとかえって違和感を覚え、疲れやすくなったなどということもありますので注意が必要です。 |
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